以前の記事の続き
2022-10-27b
自然な進行のひとつとしてこの局面をテーマ図にしているのだけど37桂は矛盾を抱えた手でもある。先手は桂を攻めに使うために37桂を指したが、桂を渡すと76桂が生じて後手を引く。なので桂を使いたいのに桂を渡し辛いジレンマを抱えている。
しかしながら、37桂に代えて46歩(参考下図)や37銀や58玉などの方が良い手なのかもよく分からないのが手の広い相掛かりの難しいところだなと感じる。
2022-11-05b

さて、テーマ図から後手が指したい手は65桂や33桂なのだけど、33桂には55飛が気になる。そこで5筋に先着する54飛を掘り下げてみる。
2022-10-27f
57の地点に狙いを定めつつ、33桂に55飛の変化を消している。
具体的には次に88角成~33桂を狙っていて、例えばここで16歩や46歩は甘い手で、88角成同銀33桂26飛65桂で後手が良い(参考図)
2022-11-05a

54飛に対して先手は
①48金(疑問手)
②58金
③66歩
④74歩
などがありそう。色々考えてみたい。


①48金
2022-11-05c
48金は筆者の考えた手なのだけど、結論を先に書くと疑問手だ。5筋を補強する自然な手だが後手に好手がある。
48金以下、88角成同銀33桂26飛65桂66角15角
2022-11-05e
33桂に対して飛車の逃げ場所は29か26の二択だが、29飛だと35歩の確実な攻めが生じる。
65桂と跳ねたところは次に39角が必殺。なので66歩や77桂のような受けは間に合わない。66角は辛抱の手だがソフトの最善手で、代えて46角には44歩が好手。39角はあるかもしれない...
最後の15角が細かな形の違いを捉えた攻めで、間接的に48の金を睨んでいる。この角があるので48金は疑問手だったわけだ。15角に29飛と逃げたいが、45桂で後手の猛攻が止まらない。

15角以下、16飛45桂15飛57桂左成同金同飛成同角同桂成同玉24角
2022-11-06a
16飛~15飛の催促で角を取ったが、15の飛車は目標になりやすい位置で王手飛車がかかった。この局面は評価値後手+400程度で最善を尽くせば後手が指せるようだ。ただ先手も手番が来れば54歩から迫れるので実戦的に逆転しやすい400点だとは思う。

以上、一見手堅そうな48金だが、15角があって危険だった。


②58金
2022-11-06b
金を上がるなら48に代えて58が優る。これなら15角は刺さらない。
以下、88角成同銀33桂26飛65桂
2022-11-06c
48金の変化と同様に33桂~65桂でどうか、というのがソフトの読み筋で形勢はほぼ互角。
後手としては、54飛と回ると陣形の進展性はあまりなくて、陣形整備しても差が付くばかりなので成算に関わらずやっていくしかない、という感じ。
自分の体感としては、先手を持って受け切る自信もないし後手を持って攻め切る自信もないので、いい勝負なのかなと思う。

以下は一例だが、
65桂以下、46角39角29飛57桂成同角同角成同金35歩
2022-11-06d
このような変化が考えられる。評価値的には互角で、後手は桂損だが自陣が無傷で攻勢に出れているので勝ちやすそうな感じもする。54飛型の攻撃力の高さを感じる変化だ。

以上、さっくりと58金は難解です。


to be continued...